PCB検査 【Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)】
冬のひだまりがことのほか暖かく感じられる初冬の候、皆様いかがお過ごしですか。
埼玉県さいたま市 長谷川電気です。
冒頭に初冬と書きましたが、つい先日暑さのあまり、現場で半袖になりました。
私が幼少のころは、トレーナーやセーターを着て遊びまわっていた記憶がある為、
温暖化と言うものが、あながち嘘でないなと感じた今日この頃です。
今回は実際弊社でも行っている、PCB検査について記載します。
そもそも『PCB』とはなんぞや?と疑問に思う人は多いと思います。
『PCB』とは、Poly Chlorinated Biphenyl ポリ塩化ビフェニル化合物の総称です。
これは、熱に対して安定しており、電気絶縁性が高く、耐薬品性に優れているので、
変圧器やコンデンサといった電気機器の絶縁油、可塑剤、塗料、ノンカーボン紙の溶剤
など、非常に幅広い分野で使用されていました。
日本では、1954年頃に製造が始まりましたが、1968年に起こった「カネミ油症事件」を
きっかけに健康被害が問題となり、1972年の生産・使用の中止等の行政指導を経て、
1975年に製造および輸入が原則禁止されました。
しかし、古い建物にはPCBを使用した機器が残っている場合があります。
PCBは法律で定められた期限までに処分しなければいけなく、現在使用中であっても、
廃棄して期限までに処分を委託する必要があります。
又、PCB特措法でPCB廃棄物の保管事業者に対し、環境大臣または都道府県知事が、
「現状で使用中の高濃度PCB使用製品を含め、原則として処分期間中に遅くとも計画的処理
完了期限までに処分を完了するように」改善命令を出すことができ、この改善命令に従わな
かった場合は、3年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科が処せられます。
つまり、下記の日程までに処分しなさいと、国が定めているのです。
<PCBが含まれている可能性がある機器>
トランス ⇒ 平成5年までに製造された物が対象
コンデンサ ⇒ 平成2年までに製造された物が対象
<処分期限>
◎高濃度PCB(変圧器・コンデンサ)⇒ 令和4年(2022年)3月31日まで
◎高濃度PCB(安定器及び汚染物等)⇒ 令和5年(2023年)3月31日まで
◎低濃度PCB ⇒ 令和9年(2027年)3月31日まで
弊社では、経年劣化に伴う変電設備の交換、変電設備の容量増設・新設を主として行っている
ため、上記トランス及びコンデンサのPCB検査を請負わせて頂いています。
それでは、弊社のPCB検査の流れを記載していきましょう。
① 初めに、各事業所様よりご契約されている主任技術者様の指導の下、該当トランス及び
コンデンサの検査依頼を受注(主任技術者様が行う場合もあります)
② PCB検査キッドを購入
※トランス1基に対して1つ、トランス2基・コンデンサ1基なら3つ購入ですね。
③ 主任技術者様立会いの下、事業所停電
※変電設備(キュービクル)内作業の為、元を停電させますので基本事業所が停電します。
④ トランスの場合は、蓋を開けて中のオイルを抽出し、蓋を閉めて検査結果が出るまで
再使用が一般的です。※交換の場合は、交換のため外した時にオイルを抽出し、検査結果
が出るまで、使用していた事業所の片隅に保管しときます。
コンデンサですと密閉されているため、ドリルで穴を開けてオイルを抽出。
ですので、コンデンサの場合は穴を開けると使えなくなるので、交換と合わせて行うのが
基本です。やはり検査結果が出るまで、使用していた事業所の片隅に保管しときます。
検査の際は、オイルに触れてはいけませんので、検査キッドに入っているゴム手袋を着用
して作業をし、使用したゴム手袋・ふき取りに使用した布などは、専用の袋に入れて専門
の業者に処分をしてもらいます。
⑤ 摂取したオイルを、専門の検査機関に送り検査してもらいます。
※結果がでるまで、だいたい2~3週間くらいですかね。
⑥ 検査結果により、PCBが含まれていれば専門の資格を有する業者が引き取り、入っていなけ
れば、そのまま使用するか、産廃業者に持込になります。
以上がPCB検査の流れになります。
国で決められており、期限が少なくなっています。
(現時点で東京事業エリアの変圧器・コンデンサは令和4年3月31日までです)
まだPCB検査を行っていない事業所様は、急ぎ検査をしてご対応することをお勧めします。