Cub撤去工事
南の空に雁が渡り、澄んだ青空が秋を感じさせる今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
埼玉県さいたま市 長谷川電気です。
雁が渡りと書きましたが、俳句の秋の季語に『雁渡し』という言葉があります。
雁が南に渡るときに捕まえる、北風を指す言葉なのですが、厳しい冬を乗り越えるために、
南の豊かな土地に旅立っていくそんな事を連想させる言葉と感じ、今回ご挨拶に使ってみました。
今回は、そんな新たな旅立ちにご協力した工事について記載します。
<キュービクル撤去> ※以下Cubと記載
長谷川電気では、高圧設備の電気をつなぐ工事だけではなく、新しくCubなどの設備を
新設したり、使われなくなったCubや配管・ケーブルなども撤去する工事も請け負っています。
今回は、お客様が新しく事業所を移転するため、使われなくなる旧建物のCub設備を、撤去して
ほしいと依頼を受けました。
Cubは、電気容量・サイズにもよりますが、1000kg以上あります。
そうなると当たり前ですが、人力で運ぶわけにはいきません。
通常ですと、ユニック車・現場によってはラフタークレーン車を依頼し、そのまま吊上げるの
ですが、今回は下の写真のようにCubの上にハリがあるため、そのまま素直に吊上げることが
できませんでした。
そのため、今回はこのような時のために協業体制をとっている3社の重量トビ会社の1社、
K社と協力して施工を行いました。
まず最初に、固定しているアンカーボルトを切断するため、Cubを持ち上げます。
今回はクレーンが使用できない為、専用のジャッキを使用しました。
Cubは、基礎や建物にアンカーボルトでしっかり固定されています。
これは、震災により変電設備が倒れたり、中の変圧器(トランス)などが動かないようにする
ためと、動いてしまうことによるケーブルの切断・損傷を防ぐためです。
ある程度持ち上げたら、ジグソーなどでアンカーを切断し、Cubと基礎の縁を切ります。
次に、木板などを隙間に挟ませて、Cubと基礎との隙間を増やします。
その際に、転倒しないようCubを水平に、薄い木板を少しずつ挟ませるのが重要になります。
Cubと基礎の隙間が確保できたら、潤滑剤又はシリコンスプレーを満遍なくかけた鉄骨材を
出来た隙間に差し込み、その鉄骨材の上にCubを降ろします。
次の作業ですが、Cubと鉄骨材の隙間に薄い紙や薄い下敷きを差し入れ、重いCubをなんと、
作業員2名で鉄骨材の上をスライドさせました。これには私も現場で“ビックリ”しました。
※最初の写真と比べて頂けると、どれだけ動かしたかがわかると思います。
潤滑剤又はシリコンスプレーを満遍なく振りかけることにより、Cubと鉄骨材の隙間に膜を作り
対象間の摩擦を無くすことによって、少しの力で重いものを動かせるそうです。
原理としては、雨の日に派生する車のハイドロプレーニング現象(アクアプレーニング現象)
を連想していただければ解りやすいと思います。
ハリを避けた場所までCubを引き出したら、後はユニック車で吊上げてトラックに乗せ、
産廃会社に運搬処分をし完了です。
※実際今回は、引込み等の配管・BOX及び2次側ケーブルは残地で、東電借室からの1次側
引込ケーブル撤去を執り行ないましたが、その話はまた別の機会に記載します。
今回の案件は、お客様にとってはたまたまこの時期に事業所を移転しただけかもしれませんが、
このコロナで厳しい時代を過ごしている中で、新しい場所で・新しい気持ちで仕事を
行うという希望に満ちた事柄に、少しでも携われ感じることができたことは、
長谷川電気としても、新たな気持ちで希望を持って進んで行こうと考えさせられた案件でした。